日本不動産仲裁機構は、住宅産業に起因する紛争の公平かつ簡易・低廉な解決を目的としています。

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論説・コラム

【特別講演】ADR×不動産 ~業務の拡がりの可能性~

2017年7月18日(火)にLEC渋谷駅前本校で実施されたセミナーの動画です。
講演者:行政書士 伊藤 浩氏

≪セミナー内容早わかりレポート≫ 一般社団法人日本不動産仲裁機構 広報部
「ADRや調停人について簡潔に理解したい」「調停人になると、何をすることになるのかを知りたい」「調停の流れを知りたい」「調停人になることに不安がある」「不動産に関するADR事例を知りたい」…など、ADRと調停人に関する様々な疑問や不安をお持ちの方に応える、セミナー「ADR×不動産~業務の拡がりの可能性」のポイントをレポートします。是非、こちらをお読みの上、動画もご覧ください。
<セミナー概要>
セミナータイトル:ADR×不動産~業務の拡がりの可能性~
東京都行政書士会ADRセンター長を歴任し、ADR制度開始当初から最前線で制度に携わり、多数のADR調停人の育成にもご尽力された伊藤浩先生をお招きし、日本不動産仲裁機構のADR認証がどのような可能性を秘め、業務の拡がりを見せるのかをご講演いただきました。

<講師:伊藤 浩氏プロフィール>
・伊藤浩行政書士事務所 代表
・総務省行政不服審査会 委員
・東京都行政書士会理事 会長付
・日本行政書士会連合会 前専務理事
・東京都行政書士会ADRセンター長歴任
≪セミナー内容早わかりレポート≫ADR×不動産~業務の拡がりの可能性

一般社団法人日本不動産仲裁機構 広報部

「ADRや調停人について簡潔に理解したい」「調停人になると、何をすることになるのかを知りたい」「調停の流れを知りたい」「調停人になることに不安がある」「不動産に関するADR事例を知りたい」…など、ADRと調停人に関する様々な疑問や不安をお持ちの方に応える、セミナー「ADR×不動産~業務の拡がりの可能性」のポイントをレポートします。是非、こちらをお読みの上、動画もご覧ください。
<チャプター>
1:ADRとは
2:ADR法とは
3:東京都行政書士会のADR
4:5つの調停モデル
5:問題概論
6:調停の基本スキル
7:日本不動産仲裁機構のADR
チャプター1:ADRとは<00:06:50~>
≪概要紹介≫
裁判でなく、話し合いでトラブルを解決するADR

ADRは、「裁判外紛争解決手続き」といい、一言で表現すると「調停による紛争解決」となります。裁判は裁判長が判決を出してトラブルに決着をつけますが、調停は話合いでトラブルを解決するものです。

【調停と裁判、それぞれの長所と短所】
調停裁判
長所・費用が安い
・迅速、短期
・非公開
・当事者間の関係を保てる可能性が高い
・柔軟な合意が図れる
・強制力がある
・公開性
・白黒はっきりする
・客観性が高い
短所・相手が調停に応じない場合がある
・まとまらない可能性がある
・費用が高い
・時間がかかる
・秘密情報が漏れる
・当事者の対立が残る
・事実上弁護士の援助がいる

≪ポイントピックアップ≫
ADRは裁判に比べて迅速に結果が出る!

裁判は申し込んでから1か月後より、何かしらの動きが開始されます。それに比べ、ADRは申し込んでから1週間~10日後には互いの都合によっては動きが開始され、通常はそこから2週間から1か月で結果が出ます。

ADRは実施場所も問わず、当事者の実情に合った柔軟な結論が出せる!
例えば、「謝罪をしてくれたら気が済む」というトラブルはよくあるのですが、これは裁判では案件として認められません。一方、ADRでは話し合いが問題解決のベースになるので、「当事者が求める結果」を実情に合わせ、柔軟に得ることができます。さらに、ADRは裁判所で行わなくても構いません。近隣の公民館を借りて実施することも可能です。
チャプター2:ADR法とは<00:30:35~>
(チャプター3:東京都行政書士会のADRを含む)
≪概要紹介≫
ADR機関を認証するためにつくられた法律

ADR法とは、「裁判外紛争解決の利用の促進に関する法律」のことを指し、平成16年12月1日に公布され、平成19年4月1日に施行されました。この法律は、「ADRを実行することできる機関」を認証するためにつくられた法律であり、この認証があれば、弁護士以外でもADRにおいてトラブルを解決することができるようになります(弁護士法72条例外)。

ADR認証機関にはトラブル解決できる案件の範囲がある
ADR認証機関には、ぞれぞれ「トラブル解決のできる案件の範囲」があります。例えば、東京都行政書士会でいえば、自転車の範囲のトラブルを解決することができます。

●自転車事故   ●ペットトラブル  ●外国人の就労・就学  ●敷金・原状回復

ADR認証機関は調停人を選任することができる
ADR認証機関は、以下を備えた人材を、「調停人」として選任します。

①法的能力     ②紛争解決能力(ADR技術)    ③専門的知見

ADR認証機関「一般社団法人日本不動産仲裁機構」が調停人を選任するしくみ
ADR認証機関である「一般社団法人日本不動産仲裁機構」には、調停人を選任するしくみがあります。調停人に求められる3要件のうち、①法定能力と②紛争解決能力(ADR技術)は「調停人研修」を受講することで満たすことができます。また、③専門的知見については、日本不動産仲裁機構に加盟する各加盟団体の実施する不動産系資格を取得することで満たすことができます。

≪ポイントピックアップ≫
日本不動産仲裁機構の実施するADRは不動産分野について非常に幅が広い

日本不動産仲裁機構のADRは不動産分野について以下の内容のトラブルを解決できます。これは、ほとんど不動産一般といって良いほど範囲が広いといえます。

①不動産の取引に関する紛争   ②不動産の管理に関する紛争
③不動産の施工に関する紛争   ④不動産の相続その他の承継に関する紛争

日本不動産仲裁機構の実施するADRのトラブル取扱エリアは「全国」
一般的なADRセンターは解決できるエリアが制限されています。例えば、東京都のADRセンターでは神奈川県の案件を解決することはできないことが多くあります。しかし、日本不動産仲裁機構のADRは取扱エリアが全国となっています。

非常に画期的な「電話調停」が可能
ADRでは、通常はセンター等に当事者を呼びます。しかし、日本不動産仲裁機構のADRでは、「電話調停」が可能となっています。調停人が交互に電話して、調停を進めていくというもの。これは、日本ではほぼ初めてのことであり、非常に画期的なことです。したがって、調停人が東京にいて、当事者が沖縄にいるというケースもあり得ます。
チャプター4:5つの調停モデル<00:38:41~>
≪概要紹介≫
5つある調停の種類
調停には、次の種類があります。
①評価型調停→裁判のように証拠を検証する
②対話促進型調停→両当事者の話をとことん聞く
③妥協要請型調停→互いの言い分をきいて、着地点を見つける
④認識変容型調停→当事者の考え方を変える
⑤ナラティブ調停→トラブルに至った経緯のストーリーをつくり、そこを吟味する
【調停の種類と長所・短所】
評価型妥協要請型対話促進型
当事者像敵対的・・論理的客体的主体的
長所専門家の判断による判決的解決威信により効率的な紛争除去自主的解決による納得
短所当事者は敵対関係のまま 紛争の本質に踏み込めない解決まで忍耐を要する結果として解決できない場合あり

≪ポイントピックアップ≫
コミュニケーションスキルを活用する「対話促進型調停」

調停の種類の中でも、「対話促進型調停」は調停人のコミュニケ-ションスキルを活用するものです。この調停は「近隣同士」等、これからも関係が継続していくような場合、効果を発揮します。なお、必要となるコミュニケーションスキルのポイントは次になります。
●傾聴<共感的傾聴>     ●承認<相手を認める>
チャプター5:「問題」概論<00:52:54~>
≪概要紹介≫
トラブル解決のポイントは「当事者同士の納得」

トラブルの解決は、「真実の追及」だけではありません。「当事者の納得」もトラブル解決になることです。例えば、ケーキを2人で分けるとして、その分け方は「精密に同じ分量ずつ分ける」ということのみならず、「一人がケーキを切り、もう一人が最初にどちらか選ぶ」ということでも、双方を納得させることができると考えられます。

「対話促進型調停」は法律知識を使用せずともできる
当事者の納得を得てトラブルを解決するには、互いの納得を引き出す「対話促進型調停」は有効です。これは決して法律にたよってトラブルを解決するものではありません

≪ポイントピックアップ≫
調停人はトラブル解決のために「当事者の求めること」をしっかりと聞く

ADRを受ける相談者は、一体何を解決したくて来ているのか。調停人はこれを十分に聞くようにします。ヒアリングを通し、単に相談者が言っていることだけではなく、「本当は何を求めているのか」を探るのです。

<事例>当事者の言い分とは違う「本当に当事者が求めていた解決内容」
当事者Aさんは、Bさん宅の飼っている犬が昼間に吠えてうるさい、吠えないようにして欲しいと主張していた。しかし、よくよく話を聞いてみると、犬の鳴き声は過度にうるさいものではなく、またAさんはBさんが引っ越し時に挨拶に来ていなかったと認識しており、その点にこだわりを持っていることが分かった。Aさんが求めていたのは、Bさんが挨拶に訪れて、犬ともども面通しをして欲しいということだったのだ。

調停は「コミュニケーションスキル」と「業務専門的知見」でできる
ADRにおけるトラブル解決に重要になるのは、調停人のADR技術(コミュニケーションスキル)と業務専門的知見(本業である不動産・建築関連に関する業務知識や経験)です。法律的に確認しておきたいものは、事前に弁護士に確認をすれば良いのです。

日本不動産仲裁機構には調停人のバックアップ体制がある
調停人に求められる「ADR技術(コミュニケーションスキル)」は「調停人研修」で身につけることができますし、「専門的知見(本業である不動産・建築関連に関する業務知識や経験)」に関しては、日本不動産仲裁機構に加盟している団体の資格を取得していることや普段の業務から身につけることができます。そして法的能力(法律知識)についても、「調停人研修」で習得することができると共に、日本不動産仲裁機構には弁護士による助言を得られるバックアップ体制があります。

<事例>不動産管理業務の延長線上でできたトラブル解決
上の階の住人Aさんの騒音が気になるというBさん。Bさんは騒音問題を解決したくADR相談に訪れたのだが、Aさんの両隣の住人からは苦情は出ていない。調停人と大家は「別の部屋に移ること」を提案。別の部屋に引っ越しをしたBさんは、それ以降騒音問題を訴えることはなくなり、トラブルは解決した。トラブル解決のポイントは騒音の原因を突き止めってやめさせることではなく、大家と連携して空き部屋情報をつかみ、Bさんに引っ越しをしてもらうことだったのだ。
チャプター6:調停の基本スキル<01:39:30~>
≪概要紹介≫
調停に使えるスキル(テクニック)と姿勢

調停で有効なテクニックと姿勢は次になります。
<テクニック>
●傾聴       ●質問      ●要約      ●言い換え     ●構造化
<姿勢>
●共感       ●承認      ●支援

トラブルは問題を「構造化」して解決する
調停人はトラブルを構造化し、「目的達成のために求められる手法」にて解決をします。

<例:問題の構造化と解決手法>
Aさんの言い分:暑いので窓を開けたい
Bさんの言い分:本のページがめくれてしまうから窓を開けたくない
→トラブル解決のための構造化:窓を開けずに室温を下げればよい→空調設備の設置

≪ポイントピックアップ≫
調停は決して難しくない

ADRに持ち込まれるトラブルは、「きちんと話し合えば解決する」というものが7割を占めています。決して、調停は難しくありません。そもそも、深刻なトラブルはADRには持ち込まれないケースが多いのです。
チャプター7:日本不動産仲裁機構のADR<01:47:46~>
≪概要紹介≫
日本不動産仲裁機構のADRのポイントまとめ

日本不動産仲裁機構のADRのポイントを簡単にまとめると、次になります。
●取り扱い範囲が広い
1不動産の取引に関する紛争
2不動産の管理に関する紛争
3不動産の施工に関する紛争
4不動産の相続その他の承継に関する紛争
●取り扱い管轄が全国
●電話調停が可能
●「ADR技術」と「専門的知見」を活かした紛争解決を図ることを方針とする

≪ポイントピックアップ≫
ADRの流れと各プロセス実施者を知れば、より安心してADRに臨める


日本不動産仲裁機構のADRの流れと各プロセスの実施者は次になります。
①トラブル電話受付<実施者:日本不動産仲裁機構ADRセンター長>

②案件審査<実施者:日本不動産仲裁機構ADRセンター長>

③当事者への応諾要請<実施者:日本不動産仲裁機構ADRセンター長>

④弁護士の助言体制<実施者:日本不動産仲裁機構ADRセンター長>

⑤調停実施<実施者:調停人>

トラブル相談受付~弁護士の助言体制の案内など、ADRの流れの多くは日本不動産仲裁機構のADRセンター長の役割となり、調停人は実際に調停を実施する存在となります。

調停人になるために
日本不動産仲裁機構の調停人になるためには、次が必要になります。
●加盟団体の推薦(日本不動産仲裁機構の加盟団体の実施する資格の取得)
●調停人研修の修了
●日本不動産仲裁機構への調停人登録

<レポート:一般社団法人日本不動産仲裁機構 広報部>


当機構は、全国の法律家及び不動産流通に関わる各分野の専門団体とのネットワークによって形成される民間ADR機構です。弁護士、司法書士によって組織される法律委員と、建築士、その他の専門資格所持者、学識経験者によって組織される専門委員によって構成されています。不動産の取引・施工・その他のトラブルについて、ADR(裁判外紛争解決)手続きによって、適正かつ迅速に解決することを目的とします。

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