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論説・コラム

太陽光発電等普及が進む再生可能エネルギー利用の現状と課題及び今後の展望(2)
相談委員 大谷昭二 平成26年2月23日(日)
特定非営利活動法人 日本住宅性能検査協会
理事長 大谷昭二

太陽光発電等普及が進む再生可能エネルギー利用の現状と課題及び今後の展望(2)


 既築住宅の大幅減のもう1つの理由として、住宅用太陽光発電(10kW未満)の売電価格および期間の問題があるのではなかろうか。市民グループから固定価格買取制度の調達価格等算定見直しに関して施工後の状況を踏まえて改善すべき提案が、本年2月に経済産業省調達価格等算定委員会になされている。その内容は「10Kw未満の余剰電力方式での現行価格を維持し、買取期間を10年から20年間とすること。住宅用太陽光発電(10kW未満)の普及と数と質は依然として日本は世界でトップを堅持し、更なる普及活動が望まれる。特に住宅用では国内メーカーが採用される割合が圧倒的に高く、国内産業支援の役割も果たしている。また、余剰買取方式であれば全量買取方式より予算総量の観点からも普及を促す点で価格は高くあるべきであり、買取価格も10年間ではなく他の項目と同等の20年間とするように求める」また、「現状の住宅用太陽光発電システムでは10年間内の初期投資回収は確実ではなく、むしろ難しくなっている。その為、調達期間終了後の売買電制度の継続は必要だ。もし余剰買取方式の買取期間が現状のままとするなら、10年調達終了後の買取内容の明確化が必要だ。買取価格は太陽光発電システムの導入コストの推移により一層下がると思われる。その不安を払拭する為にも調達終了後の見直し買取価格とその適用期間を明確化(指針化)するように求める」と提案している。

 J-PECによると、50kW前後の設備がその認証申請で非常に多いい。これは国土の広さなどの国内の設置条件等を反映したもの、しかし中規模の50kW前後のシステムでは現状の買取価格では収支が非常に厳しく、その需要にマッチしていない。「このミスマッチを解消するためには算定価格等の見直しにおいて、区分として10kW未満を省いた一般電気工作物として「10kW以上〜50kW未満」を新設し、現行の調達価格40円/kwh(3月時点 消費税抜き)を維持するかそれ以上の優遇価格とする措置が必要だ」。しかしながら、これらの提言は、2013年3月11日開催の経済産業省調達価格等算定委員会において、賦課金の負担を大きくする可能性があるとして別の調達区分として設定する必要は認められないとしたが、再生可能エネルギー特別措置法の立法の意図を鑑み、太陽光発電の一層の普及を図るにはこれらの事業環境の整備が課題となってくる。

 2012年12 月、低炭素促進法が施行した。低炭素化の義務化である。これで、省エネ性能が高い住宅などを地方公共団体が認定する「認定低炭素住宅」が推進されることになった。再生可能エネルギーの普及にはこの5000万戸とも言われている既築住宅をどうするかの問題でもある。この問題に対して 踏み込む可能性を秘めた法律が「低炭素法」である。

 低炭素法の考え方は、高気密高断熱住宅に、トップランナーと呼ばれるもっとも効率の良い設備を取り付け、さらに太陽光など再生可能エネルギーを採用することで、住宅をゼロエネルギー化し、さらにはマイナスエネルギー化に誘導していくことである。昨年10月から始まった新省エネルギー基準で評価する1次エネルギー消費量よりも、10%少なくできる仕様の住宅である。

 国土交通省においても、消費税後の着工数が激減する事を想定しており、それ故に、「ストック型社会」への移行に関して、既築建物の良質ストック化(改修)に力を注いでいる。明確な将来ビジョンを見据えて政策を作成している。

 太陽光発電等の環境機器を搭載すればスマートハウスというわけにはいかない。住まいの基本性能、耐震性能とか断熱性能をあげるのがスタートとなる。断熱性を高めることは、住宅・建築物の省エネを大きく前進させ、節電、光熱費削減につながる。無断熱の住宅に比べ、現行の平成11年基準、いわゆる「次世代省エネ基準」の住宅は、年間エネルギー消費量が約5割低減でき、冷暖房費では、年間約3万円の違いがある。国土交通省によると既築住宅約5,000万戸(2012年時点)のうち、無断熱の住宅が39%(約1950万戸)、昭和55年準適合が37%(約1850万戸)、平成4年基準適合が19%(約950万戸)、現行の平成11年基準(次世代省エネ基準)に適合している住宅に至っては、わずか5%(250万戸)だ。リフォームによる断熱性向上が重要である。」 

 2020年には新築住宅について義務化の方向なので、既築住宅も対応が求められることは当然の流れだ。国土交通省などの資料を見ると、最近の新築戸数は80万戸を下回っている。つまり、認定低炭素住宅が新築に義務化されたとしても住宅全体の1.4パーセントが改善したに過ぎない。この政策を推進していくうえで重要になるのが、既築住宅の不動産取引だ。この低炭素化の義務化により、建築業法、宅地建物取引関連法、建築基準法などの一連の法改正も検討されている。

 省エネ基準と違う点は、省エネ基準では評価されていない低炭素化に貢献する木造住宅 とすることの他、節水設備、雨水・雑排水利用、太陽光発電・蓄電池、HEMS、緑化、高炉セメントの使用等から2つを選択して採用することが求められている点である。とはいえ省エネ基準とほぼ同じなのに、なぜ「低炭素住宅」という別名の制度なのであろうか。それは、省エネ政策の背景が建物単体から街づくり全体、つまり「スマートシティ」の視点に移っているからである。市街化区域等に建設される建物が対象になっている。エネルギーを多消費しない低炭素社会へと、大きな価値転換に動いているということである。

 いずれにせよ、地球温暖化の影響とも思える異常気象からも省エネ化と耐震化はこれからの新築住宅や既築住宅の必須条件になることは間違いない。

 しかしながら省エネには同意するものの、快適な暮らしのためにエネルギーを使うことを、ためらわない感覚の消費者も多数いると思う。エネルギーコストが安く、エネルギーコストの視点だけでは省エネ投資のパフォーマンスが低くみられてしまう。(続く)


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